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全脳アーキテクチャ・アプローチは、
「脳全体のアーキテクチャに学び人間のような汎用人工知能を創る(工学)」
をミッション・ステートメントに掲げた人工知能の研究開発アプローチです。こうして脳に学ぶ研究開発を通じ、2030年頃を目標として脳を越えた汎用人工知能の構築を目指します。
全脳アーキテクチャ(WBA)・アプローチについて
汎用人工知能の実現を目指す研究開発アプローチは多岐にわたりますが、私達は下記の「全脳アーキテクチャ中心仮説」にもとづいて、汎用人工知能を創りあげることを目指しています。 全脳アーキテクチャ中心仮説 ”脳はそれぞれよく定義された機能を持つ機械学習器が一定のやり方で組み合わされる事で機能を実現しており,それを真似て人工的に構成された機械学習器を組み合わせる事で人間並みかそれ以上の能力を持つ汎用の知能機械を構築可能である” この仮説により全脳アーキテクチャ・アプローチにおける研究開発は、以下の図に示すように、
の二つに分解されます。
全脳アーキテクチャ・アプローチの概要図 (出典:Licensed under a Creative Commons Attribution-ShareAlike 3.0 Unported License.)
現状で「多角的問題解決を自律獲得できるシステム」は脳だけであることを考えれば、脳に学んで汎用人工知能を構築することは理にかなっていますが、つい最近まで1と2のそれぞれについて技術的な困難さがありました。
近年、1については、脳において汎用性を担う新皮質のモデルと見なしうる深層学習の研究が成功し、最大の困難も解決に向かい始めています。さらに最近は、複数の機械学習を様々に組み合わせて、特定の知的機能を実現する研究が急進展しています。この方向性を拡大することで汎用人工知能の実現を目指すことは、基本的には有望な選択肢であると思われます。
そして、一つの特定の問題だけに対処する研究ではなく、大規模に機械学習を統合して多くの問題に汎用的に対処する知能をつくるためには、基盤となるフレームワークとしての認知アーキテクチャが必要となります。これまで脳を参考として認知アーキテクチャを創るために必要な神経科学的知見はかなり不足していましたが、近年の欧米等における神経科学への大量投資により脳全体の結合様式(コネクトーム)がみえつつあり、今後さらに知見が蓄積される見通しです。
こうした背景から脳を参考とした認知アーキテクチャ上において複数の機械学習を統合して、汎用人工知能を実現する全脳アーキテクチャのアプローチは、まさに今だからこそ実現可能なアプローチとなっているのです。